「いきなりだが、弥嘉は
“特別保護法”の存在を
知っているか?」
「は……はい、確か前の
戦争が終わった頃に成立
した法律ですよね?」
突然話題が逸れたように
感じて戸惑うも、弥嘉は
律儀に答えた。
それに応えるかのように
男は尚も続ける。
「その通り。ではそれは
なぜ成立したと思う?」
「えっと、あらゆる災害
から人々を守るためだと
教わりました」
徐々に首を傾げる弥嘉を
眺めながら、男はさらに
言い募った。
「良く勉強しているな。
ちなみに前の戦争で誰と
誰が戦ったものだ?」
「人間とドラゴンです」
弥嘉は父親を正面に見据
えてハッキリと答えた。


