「あなたはこの服が充分
すぎるほど似合うわ」
唇から指を離した直後に
そう言った翠は、思わず
目を細めていた。
「ええっ……と、どうも
有難うございます」
一方弥嘉は、敢えて謝ら
せようとしない翠の意図
を察して困惑しながらも
律儀にお礼を述べた。
「本当に、キザな奴」
今まで沈黙を保っていた
紗奈恵がこの様子を見て
苦々しく毒を吐いた。
***
耀と翠に導かれ弥嘉達が
船内に足を踏み入れると
既に多くの生徒が会場に
来ており、辺りが彼らの
話し声で賑わっていた。
ようやくここにきて船の
雰囲気に慣れ始めた弥嘉
の目にまたもや信じられ
ない光景が広がる。
幾つもの繊細且つ豪華な
シャンデリアが、コロニ
アル調に統一された船内
を美しく彩っている。
また見るからに高級食材
を使用している料理が、
芸術品のように所狭しと
テーブルに並ぶ。
生徒の話し声に若干かき
消されているが、本格的
なオーケストラの演奏が
会場内に心地良く響く。
「――――!!!!!?????」
以前にも増してこの船に
圧倒された弥嘉は、ただ
その光景を見つめること
しか出来なかった。
流石の壱加や紗奈恵も、
多少の違いはあれど驚き
を隠せずにいた。


