それを目にした壱加は、
弥嘉をまじまじと見つつ
男に薄笑いを浮かべた。
「オッサンの娘の割には
えらくまともだな!!それ
にしても、親子でこうも
違うもんなのか!?」
「……娘の柔らかい薄茶
色の髪は隔世遺伝でね。
彼女の祖母譲りなんだ」
男は、白髪混じりの頭を
掻きながらさも面倒臭そ
うに答えた。
渾身の皮肉がアッサリと
かわされ、壱加は忌々し
げに舌打ちをした。
再び険悪な雰囲気になり
そうだと直感した弥嘉は
慌てて話題を変えた。
「そっ……それにしても
壱加様はどこのご出身な
のですか?黒髪に碧い目
なんて珍しいですよね」
「……はっ!?碧い目!?」
壱加の言葉が発せられた
と瞬間、客間全体の空気
が一瞬で凍りついた。


