「俺、好きだよ。」


静かな教室に響く水町の声は、俺の耳元でひっかかり、頭に届く前に詰まってしまった。


「苅谷の事が好き。」



苅谷は白く綺麗な太ももをぴたりと閉じて、その太ももの上には小さな両手がスカートを強くつかんでいる。


ずっと下を見て俯いている彼女の表情は、とても強く固まっていた。



純粋に照れる彼女に、もう何もわからなくなって、俺なんか消えてしまえばいいと思った。



その表情を俺が1人で初めに見たかった。
その姿を、俺の言葉で生み出したかった。

こんなに苦しいのなら、こんな気持ちは初めからない方が良かったのだと思った。