「やっべー!全く勉強してない!!」
そんな俺の不安は山中の見事な一言で打ち消された。
周りの女子たちの ヤマは勉強したって赤点だよ というご意見に「そりゃそうだ」とおもしろおかしく笑ってみせると、クラスで小さな笑い声が響いた。
女子限定で。
「上場くんは勉強してる?」
隣の苅谷が優しそうな笑みを浮かべて俺に問いかける。
・・・俺はあれ以来苅谷に話しかけられると、毎回緊張ばかりしていた。
変に意識ばかりして言葉がうまく出てこない。
だが、そんな醜態をみせるのはもう御免だったので俺は話しかけられていることを何とも思ってないような素振りを繕ってみせた。