「なぁ、荒太」



隣で同じように傘をいじっている荒太に話しかける。

俺のまわりには、彼だけがいる。


「んー?」


能天気そうな声で荒太が言葉をかえす。

荒太だけは、本当に何も変わらない。
変わらないでいてくれている。


俺は半壊れの傘を強制的に閉じると、

「荒太、ちょっと俺の味方してくれる?」

と訊いた。