「おい!聡介!!」



日差しの眩しい朝、カバンを置いた途端に教室から出ようとする俺に荒太が声をかける。


「わりぃ」

ほとんど独りぼっちになってしまった俺は、逃げ道を見つめたまま右手を弱々しくあげて、そのまま教室を後にした。



もともと居心地の悪かった教室も、今は更に居心地が悪くなり、うかうかしてたら罵声が飛んでくることもある。



地獄から逃げ出した俺にはもう屋上という確かな逃げ場所もなければ、他の場所は女子たちの縄張りなので生きる居場所がなかった。