視界がぼやけ、景色が霞む。


症状は恐らくどんどんと悪化してきているのだろう。


ブラウスに汗が染み込み、そこそこ男らしい肉体が透けてみえる。



「・・・よい・・・・・・しょ」


やっとの思いで暑苦しい被り布団を蹴り離し、上体を起こす。


痛む頭を抱え、早く行かなければと俺は自分で自分を急かしている。


あれから二時間。もう演説が始まる頃だ。
迂闊にも眠ってしまっていた俺は、起きて時計をみた頃には生まれて初めて目を見開いていた。