「ねぇ君」



低い声が後ろから私の耳を侵す。



「なんっ…ですか?」



必死で冷静を装う。



ドキドキという音が聞こえないか不安になった。



「名前、何てゆうの?」



くすくすと笑いを含んだ声。




うゔぅぅ…!!!



恥ずかしさで顔が熱くなる。



「臣那牙、優奈です…」



「ふぅん優奈ちゃんね…宜しく」



男性は私の前に体をずらして、私に手を差し出した。



「よ、宜しくお願いします」



そうっと手を差し出す。



ギュッ



と、力強く…でも優しく手を握られた。



ゆっくりと離れていく男性の手。



「書類は他のに運ばせるから、優奈ちゃんはもう戻りな」



にっこりと笑って、男性はコツコツと歩き去っていった。



ドキン…ドキン…



高鳴る心臓を抑えて、私は確信していた。



これは…恋。



そして…私は、決心する。



私、あの人を探し出してみせる。



そして…いつか、両想いになってみせる!!