Kissシリーズ・「バレンタインのキス」

「…と思っていたのに、なぁんで作っちゃうかなぁ。もう…」

ブツブツ言いながら、紙袋の中身を睨んでしまう。

中身はチョコ入りの箱と、おかき入りの箱。

どちらも手作りだけど、渡すのはおかきだけ!

彼の家に来て、部屋に通されたわたしは、お茶を持ってくると言って出て行った彼を1人待っていた。

「お待たせ」

「あっ、うん!」

彼はホットココアを淹れてくれた。

「あま~い! あったかーい」

「お前、甘いの好きだよな」

「うん! だって女の子だもん」

「何だそりゃ」

彼は優しく微笑んで、わたしの頭を撫でてくれる。

「えへへ。あっ、そうだ。今日バレンタインデーでしょ? お菓子、作ってきたんだ」

そう言ってわたしは、おかき入りの箱を取り出した。