少し肌寒くて、僕は瞼を持ち上げた

僕の上半身には全く布団がかかっておらず、裸の身体がむき出しになっていた

真央が、布団に包まって眠っている

目には涙のあとが残っていた

僕に抱かれながらも、真央は何度も謝りそして涙を流していた

謝るのは、僕のほうだよ、真央…

浮気をした真央を許して、彼氏として真央を抱いたわけじゃないんだ

真央を抱きながら、違う女性を求めていた

どこにも行き場のない葉月さんへの感情を、真央の身体にぶつけただけだ

ごめんな

真央を嫌いになったわけじゃない

今まで通りの『好き』という感情は、真央に向けられてるんだ

それ以上の『愛』が、葉月さんへと向いてしまった

僕は、真央の額にキスをすると布団から出て、ジャージを羽織った

携帯に手を伸ばして、液晶のライトをつける

メールの表示は出てなかった

もしかしたら葉月さんは、もう僕とメールする気はないのかもしれない

あの教室でのキスで、恋心に終止符を打ったのかもしれない

困るよ…僕の気持ちはどうなるの?

今度は僕が、さくらを諦める番なのか?

『さくら、メールしよ。僕はさくらとメールがしたい』

教師という仮面が、壊れた瞬間…僕は、一人の男になった

さくらが欲しい

教師という立場なんて、どうでもいい

さくらと話がしたい…さくらに触れたいよ