すこし離れてるけど、きちんと僕についてくる足音が聞こえた

逃げたりは…しないみたいだね

僕は怯えられているのだろうか?

怖がられてる?

まさか

男性恐怖症とか?

それとも対人恐怖症か?

僕は生徒指導室のドアを開けて、誰もいないのを確かめてから、中に入った

10秒後くらいに、ノックが聞こえて、葉月さんが中に入る

けど…ドアに張り付いたまま動こうとはしなかった

「椅子…座って」

僕が窓側に座り、テーブルの向こう側にあいている椅子に僕が手を差し出した

葉月さんはぷるぷると勢いよく首を振って、拒否の姿勢を見せた

「違ったら謝るけど、もしかして葉月さんって面と向かって人と話すのが苦手?」

葉月さんの顔がぱっとあがると、驚いた顔をしたまま激しく上下に頭を振る

首振り人形みたいで、ちょっと面白いなあ

「そっか。了解。じゃあ…葉月さん、今、携帯持ってる?」

葉月さんが鞄の中をがさごそとあさると、僕に白い携帯を見せた

僕も、スーツのポケットから携帯を出すと「メールで話をしよっか」と提案をした