愛の雫

凪兄の話を黙って聞いていたあたしは、控えめに口を開いた。


「じゃあ、あたしの顔を見てくれなかったのも、凪兄の様子が何か変だったのも……」


「希咲の傷を見る度に、何でもっと早く助けに行けなかったんだろうって、自分にムカついてたから……かな」


凪兄はため息混じりに言って、自嘲気味に笑った。


どうして……?


だって、そんなの……


「そんなの、凪兄のせいじゃないのに……」


悔しさを滲ませて呟くと、凪兄がどこか困ったように微笑んだ。