愛の雫

「いや、俺は……」


「ごめんね……。あたしのせいで、そんな怪我させちゃって……」


「希咲のせいじゃないよ。悪いのはあいつらだ……。それに俺がもっと早く行ってたら、希咲はあんな思いしなくても良かったかもしれないのに……」


「何言ってんのっ!!」


苦痛の表情で話す凪兄を遮って、思わず声を張り上げていた。


「あたしは、凪兄が来てくれて本当に嬉しかったし、ホッとしたんだよ……」


そこまで言った後、生々しい傷に覆われた彼の右手をそっと握った。