愛の雫

「怪我、痛くない?」


「えっ……?あ、うん」


突然の質問に小首を傾げそうになったあたしは、すぐにその首を縦に振った。


そっか……


お風呂に入る時、ガーゼ取ったんだった……


「本当に?」


「あたしは平気だよ。てか、凪兄の方が重傷じゃん」


話しながら視線を遣った凪兄の右手には、赤い傷がたくさん出来ている。


彼もきっと、お風呂に入る時にでも包帯を外したんだろう。


まだ出来たばかりの傷が、やけに痛々しかった。