愛の雫

「俺も眠れないから、何か飲もうと思ってさ。そしたら希咲も降りて来る気配がしたから、これにした」


いつもの口調で話した凪兄は、あたしにマグカップを差し出した。


ユラユラと揺れる湯気の中に、カフェオレよりも薄い色。


やっぱり甘い香りを漂わせるそれは、あたしが大好きなカラメルミルクだった。


「……どうして、降りて来るのがあたしだって思ったの?」


「ん?足音で、何となく」


凪兄は笑顔で答えながら火燵のスイッチを入れ、あたしにも座るように促した。