愛の雫

「やっぱり、希咲ちゃんもそう思った?」


あたしのため息を“同意”と捉えたのか、奈緒ちゃんが眉を寄せて首を傾げた。


「えっと……」


「あれ?希咲ちゃんは何も感じなかった?」


「ううん……。凪兄、病院を出てからちょっと変だと思うよ……」


あたしの答えを聞いた奈緒ちゃんが、視線をゆっくりと天井に向けた。


「まぁ、理由は何となくわかるんだけどね」


それから、彼女は再びあたしを見つめながら眉を寄せて微笑み、ため息混じりに意味深な言葉を零した。