愛の雫

「そういえばさ……」


ボーッとしていたあたしの様子を窺うように、奈緒ちゃんがポツリと零した。


「凪、何か変だったよね」


「えっ?」


奈緒ちゃんから凪兄の名前が出た事に、一瞬だけ戸惑う。


姉弟だから別に何もおかしくないのに、今考えていた事を見透かされてしまいそうな気がして、ほんの少しだけ動揺した。


それに、さっきの凪兄の態度への違和感もまだ拭えない。


何だか色んな事を考えているうちに、ついため息が漏れてしまっていた。