愛の雫

「希咲ちゃんがおじさんに話したいと思うなら話せばイイけど、特に父親には言い難(ニク)い事だと思うから……」


真剣な表情の奈緒ちゃんに、唇を噛み締めながら頷く。


パパがあたしの傷に気付いて心配してくれた事は、すごく嬉しい。


だけど…


傷が出来た理由は、出来る事なら知られたくない。


だからこそ、パパに何も言わないでいてくれた奈緒ちゃんの気遣いが嬉しかったし、何よりもホッとしていた。


だって、泰人達の事なんかで、パパに心配を掛けたくなかったから…。