愛の雫

「お待たせ〜!」


微妙な雰囲気を打ち破るように、奈緒ちゃんの明るい声が響いた。


「希咲ちゃん、行こう!」


「あ、うん……」


奈緒ちゃんに腕を引っ張られたあたしを見て、凪兄が苦笑していたけど…


あたしに見られている事に気付いた彼は、またハッとしたように笑顔を消した。


何なの……


言いようの無い違和感に、小さな苛立ちが芽生え始める。


あたしはそれを気にしないように努(ツト)め、笑顔の奈緒ちゃんと一緒にバスルームに向かった。