愛の雫

リビングに行くと、着替えを済ませたパパがソファーに座っていた。


「おじさん、今日はご馳走様でした」


「いや。こちらこそ、本当にありがとう。今夜は希咲の事をよろしく」


「はい」


笑顔で頷いた奈緒ちゃんに、パパが穏やかに微笑んだ。


「希咲、行ってらっしゃい」


久しぶりに聞いた言葉につい頬が緩んで、心がほんの少しだけくすぐったくなる。


「……行ってきます」


あたしは小さな笑みを浮かべながら、どこかぎこちなく返した。