愛の雫

奈緒ちゃんに先に帰るように言われた凪兄は、笑顔でパパを見ながら口を開いた。


「今日はご馳走様でした。ありがとうございました」


「いや、こちらこそ色々とありがとう」


「いえ」


「それから、今夜は希咲をよろしく」


「あっ、はい」


凪兄はニコッと笑って頭を下げ、彼の家に向かって歩き出した。


「希咲、奈緒ちゃん、寒いから中に入りなさい」


「お邪魔しま〜す!」


パパに促されて、あたしは凪兄の後ろ姿を横目に家の中に入った。