愛の雫

戸惑いを抱えて立ち尽くしたままのあたしは、パパや陽子さんの顔を直視出来なくて…


何か言いたそうにしている梶原さんからも逃れるように、視線を逸らそうとした。


その瞬間…


背後から、小さなノック音が二回聞こえて来た。


思わず振り返ったあたしの視界に入って来たのは、笑顔の凪兄と奈緒ちゃんだった。


優しい表情をした二人を見ていると、ほんの少しだけ心が軽くなる。


凪兄を見つめていると、程なくして柔らかい笑みを浮かべた彼がゆっくりと唇を動かした。