愛の雫

「希咲」


「え……?」


パパの声にハッとしたあたしに、梶原さんが満面の笑みで口を開いた。


「ほら、あなたの番よ」


彼女に言われて、思わず固唾(カタズ)を飲んでしまう。


いざとなると、ついいつもの癖が出てしまうみたいで…


「あ、あたし、やっぱり……」


思わず口をついて出ていたのは、後ろ向きな気持ちを表す言葉だった。


「あら、どうかした?」


不思議そうに首を傾げた梶原さんは、怪訝な表情を見せながら訊いた。