愛の雫

しばらく赤ちゃんに触れていた陽子さんは、あたしとパパに笑顔を向けた。


パパは無言で頷き、あたしを見た。


「希咲、先に……」


「あたしは後でイイよ」


パパの言葉を遮ったあたしは、目配せでパパを促す。


一瞬だけ悩んだような表情を見せたパパが、すぐに笑顔になった。


パパは保育器の穴にそっと手を差し込んで、赤ちゃんの指先に優しく触れた。


「希咲の生まれた時にそっくりだ……」


程なくして、パパが本当に幸せそうに目を細めた。