愛の雫

「ありがとう、希咲ちゃん」


優しく落とされた言葉に、バツが悪いような気持ちになってしまう。


「別に……」


またぶっきらぼうに返すと、視界の端に映る陽子さんが小さく笑った。


「じゃあ、ここからどうぞ」


梶原さんは、赤ちゃんの頭側にある丸い穴を指差した。


「はい」


頷きながら起き上がった陽子さんが、そこにゆっくりと手を差し込む。


「温かい……」


陽子さんは赤ちゃんの指に触れた瞬間、幸せそうに微笑んだ。