愛の雫

ドアが二重になっているのは、きっと衛生管理の為。


そんなつまらない事が、頭の片隅を過ぎった。


「希咲」


パパに促されて、ゆっくりと足を踏み入れる。


緊張のせいなのか、踏み出した一歩はすごく小さくて…


思わずそこで足を止めてしまったあたしは、そのまま動けなくなった。


「希咲、ほら」


パパに背中をポンポンと撫でられて、無意識のうちに止めていた息を吐く。


そして…


小さく深呼吸をした後、もう一度足を踏み出した。