愛の雫

「泰……」


「俺さぁ、希咲に会う為に6時間目サボったんだぜ?ちゃんと話したかったっつーか……。まぁ、お前に早く会いたかったし……」


あたしの言葉を遮った泰人は、一気に話すとニカッと笑った。


その表情が少しだけ照れ臭そうだったからなのか、さっきみたいに泰人の笑顔を恐いと感じる事は無かったけど…


すぐ隣にいる彼の事が、友達よりもずっと遠い存在になってしまった事を、改めて実感した。


そんな風に感じている自分が、何だか冷たい人間のように思えた。