愛の雫

「結果として希咲ちゃんの為にはならなかったし、私のせいで広之さんと希咲ちゃんが上手くいかなくなって……」


陽子さんは、今にも泣き出してしまいそうな表情で唇を震わせた。


「本当に、ごめんね……」


か細い声で、だけどしっかりと紡ぎ出された謝罪の言葉。


その直後、あたしの鼻の奥に鋭い痛みが走り抜けた。


唇を噛み締めて、熱くなる目頭から涙が零れないように堪える。


「本当に……ごめんなさい……」


静かな病室に、悲しみを帯びた声が消えた。