愛の雫

しばらく黙っていた泰人が、小さなため息を漏らした。


「わかったよ……」


承諾してくれた事に心底ホッとしながらも、さっさと歩き始める。


逃がさないとでも言うかのように、すかさず泰人が後から付いて来た。


「おいっ!!」


「駅前の公園……」


「は?」


「それでイイよね?」


振り返って訊いたあたしは、泰人の返事を待たずにまた歩き出した。


そして、いつもよりもくすんだ青が広がっている空の下、足早に公園に向かった。