愛の雫

背中に回された腕が凪兄の物だと気付いたのは、程なくしてからの事だった。


あたしを抱き締める腕が力強くて苦しいのに、優しい香りに包まれているからなのか、すごく安堵している自分(アタシ)がいる。


「大丈夫、もう何も言わなくてもイイ……。ちゃんとわかってるから……」


凪兄は優しく囁きながら、あたしを宥めるように背中を撫でてくれた。


落ち着きを取り戻したいのに、グチャグチャになった頭の中で色んな事が駆け巡っている。


あたしは、声を押し殺すようにして泣いていた。