愛の雫

頬に涙が伝っていた事に気付いたのは、凪兄があたしの目尻に指先でそっと触れた時だった。


「……っ、あ……たし……」


「うん」


涙混じりの声を発したあたしに、彼が微笑みながら相槌を打つ。


「……っ、あたしは……ただっ……」


「うん」


「パパが……ママを……っ!」


溢れ出しては零れ落ちる涙が喉の奥に熱を運んで、声を出させてはくれない。


涙を堪えたくて唇を噛み締めた時、あたしの体がクラリと傾いて視界が黒一色に染まった。