愛の雫

店長は駐車場から車を移動させて来る為に、一足先に出て行った。


その後、苦しそうに顔を歪めたままの陽子さんが、奈緒ちゃんと凪兄に支えられながら控室を後にした。


ロッカーからバッグを出したあたしは、手早く着替えを済ませる。


帰り支度を終えた頃、控室の隅に立っていた朋子に視線を遣った。


「ごめんね……」


素直に零れた謝罪の言葉に、自分でも少しだけ驚いたけど…


「じゃあ、行くから……」


平静を装うように笑顔を繕って、そのまま控室を出た。