愛の雫

「彼らがした事は立派な罪になるし、君さえその気になれば訴える事も出来るんだけど……」


「え……?」


慌てて首を横に振ろうとすると、小谷さんが穏やかな表情のまま続けた。


「でも、君はそれを望んでないみたいだね」


「はい……」


「君は、本当にそれでイイの?」


小谷さんに再度確認されたあたしは、大きく頷いてからゆっくりと口を開いた。


「ちょっと殴られただけだし……。あたしは、別に訴えたいなんて思ってる訳じゃないですから……」