愛の雫

「君が気に病む事じゃないよ」


その言葉で少しだけ視線を上げると、穏やかな表情をした男の人と目が合った。


あたしが誰なんだろうって顔をしたのが、彼にはわかったみたい。


「刑事の小谷(コタニ)です。馬場の知り合いなんだ」


小谷って名乗った刑事さんは、優しい笑みを見せた。


「刑事、さん……?」


「あぁ、そうだよ」


小谷さんは小さく頷いた後、フワリと微笑んだ。


その柔らかい表情が、あたしをほんの少しだけ安心させてくれた。