愛の雫

絵里香に好かれている、なんて思った事は一度も無い。


あたしだってそこまでバカじゃないから、利用されているって事くらいちゃんと気付いていた。


それでもその事に気付かない振りをする事で、自分の身を守っているつもりだった。


その結果がこんな状況を生んだのなら、自業自得なのかもしれないけど…


情けなさと悔しさを持て余したあたしは、怒りをぶつけるように絵里香を睨んだ。


だけど、“本当に”恨みを込めた相手は彼女じゃなくて、いつも逃げてばかりいた自分自身だった。