愛の雫

数秒間の沈黙の後、泰人がため息をついた。


「何で?」


思わず目を見開きながら顔を上げて、彼を見てしまった。


「え……?」


理由を尋ねられるなんて考える余裕が無かったから、動揺と驚きで返答に困って視線を泳がせてしまう。


「希咲さぁ、すぐ黙り込むのがウザイ。俺、お前のそういうとこがマジでムカつくんだよ……」


その言葉に、大きな苛立ちを感じた。


あたしの性格が嫌なら、やり直す必要なんてないじゃん……


正直、そう思っていた。