愛の雫

泰人に必要以上に力を込められているせいで、掴まれている場所が痛い。


何とか彼の体を押してみたけど、僅かにしか入らない力ではどうする事も出来なかった。


「おい!何とか言えよ!」


泰人の苛立ちを含んだ声が耳元を掠めた時、また体がビクリと跳ね上がった。


同時に、あの公園での出来事がジワジワと蘇って来て、言葉を発するのが益々恐くなった。


だけど…


これ以上泰人の事を怒らせてしまう訳にはいかないと感じて、震える唇に力を入れてゆっくりと動かした。