愛の雫

泰人と絵里香に、何も言い返す事が出来なかった。


疑問形で尋ねられていたけど、あたしに拒否権なんて無いのは明確だ。


完全に不利な状況の中、逃げ出す事しか考えていなかった。


だけど…


落ち着いて頭を働かせようとしても、部屋中が嫌な空気を纏っているからなのか、息苦しくて何も考えられない。


何も言わないあたしに痺れを切らしてしまったらしく、泰人があたしの腰に回したままの手に力を込めた。


「希咲、答えろよ」


そして、彼は低い声で言った。