愛の雫

「だから言ったでしょ?プレゼント持って行く、って」


耳元でそう囁かれた時、絵里香が言っていた“プレゼント”が泰人の事なんだって気付いた。


微笑む彼女の口元で、厭らしいくらいのグロスが光っている。


嵌められた……


そう思ったのと同時に、今の状況がヤバイんだと気付く。


「仕事中だから……」


咄嗟に浮かんだ言い訳を、そのまま零した。


だけど…


踵を返そうとしても、絵里香と泰人に挟(ハバ)まれてその場から動けなかった。