愛の雫

あたしが教室に辿り着いたのは、始業のチャイムが鳴った直後だった。


「藤村(フジムラ)さん、また遅刻よ。入学してから何回目だと思ってるの?」


「すみません……」


担任に注意された手前、形だけ謝っておいたけど…


こんなつまらない事で、いちいち反省なんてしない。


「希咲、また寝坊?」


席に着いたあたしの後ろから声を掛けて来たのは、和田絵里香(ワダエリカ)。


「まぁね……」


小さく答えた後、曖昧な笑みを浮かべた。