愛の雫

「……早苗ちゃんって、あんな感じの子だったっけ?」


呆気に取られたような凪兄は、早苗の後ろ姿を見ながら訊いた。


「知らない」


ため息混じりにポツリと答えて、凪兄から逃げるようにさっさと歩き出したけど…


「あっ、希咲!待てよ!」


当然、彼はあたしの後を追って来た。


「何か話があるんだろ?」


「別にないし!」


「でも、早苗ちゃんがそう言ってたし……」


あたしの隣を歩いている凪兄が、しつこく問い掛けて来た。