愛の雫

「無謀?」


「『彼女がいる』って言われたんです……」


その事を告げたあたしは、口元を緩めて自嘲気味に笑った。


「あたし、その人から彼女がいるって事を聞いてから、ずっとモヤモヤしてて……。理由がわからなくて悩んでた時、早苗に言われてやっと自分の気持ちに気付いたんです」


ハハッと零した乾いた笑いは、店内に流れている邦楽によって掻き消された。


それがまた虚しさを膨らませて、胸の奥がズキリと痛む。


その痛みは苦しくも感じて、思わず顔をしかめていた。