愛の雫

「本当は、自分の事が一番嫌いなんです……」


声を振り絞るように小さく零すと、乃依さんは目を大きく開いた。


彼女の綺麗な瞳が、あたしを真っ直ぐ見つめたまま悲しそうに揺れる。


乃依さんのそんな顔を見ていると、何だか胸の奥がギュッと締め付けられて苦しくなったけど…


「だから……自分の事を嫌いなあたしが、誰かを好きになれるハズがないって思ってたんです……」


既に彼女に縋るような感情を抱いてしまっていたあたしは、もう話を止める事が出来なくなっていた。