愛の雫

「ママの事をすごく大切に想ってたハズなのにあんな人とさっさと再婚しちゃったパパの事も、今は嫌いなんです……」


「そう……」


乃依さんの表情が、少しずつ曇っていく。


こんな話を聞かせてしまって申し訳ないと思う反面、親身になって話を聞いてくれている事がすごく嬉しかった。


少しだけ間を置いたあたしは、俯きがちになっていた顔を上げて口を開いた。


「でも……」


そして、掠れそうになる声で一言だけ零した後、ゆっくりと深呼吸をしてから続けた。