愛の雫

「あたし、家族が嫌いで……」


突然話が変わった事で、乃依さんは少しだけ不思議に思ったみたいだけど…


「どうして?」


彼女はその事には触れずに、優しく訊いてくれた。


「ママはあたしが中学の時に亡くなっちゃって、少し前にパパが再婚したんです……」


「そっか……」


「でも……あたしは、その人の事をどうしても“母親”だと思えないし、あたしのご機嫌取りばっかりするあの人が嫌いで……」


そこまで話してから、ウーロン茶をグッと飲んだ。