愛の雫

家までの僅かな距離を、俯きながら歩く。


すっかり陽が落ちて暗くなった道を一人で歩いていると、自分だけこの世界に取り残されてしまったようにも思えて…


何だか不安が込み上げて来て、また涙が溢れ出した。


泣くなんて、あたしのキャラじゃない。


早苗の前でも、凪兄の前でも泣くなんて、あたしらしくない。


一人になっても止まらない涙は、頬を冷たく濡らした。


「バッカみたい……」


嘲笑うように吐いた言葉は、冬の夜の中にそっと消えた。