愛の雫

靴を履き終えたあたしの腕を、凪兄がグッと引っ張った。


その瞬間…


「希咲……」


視線がぶつかった凪兄が、ハッとしたように呟きながら目を見開いた。


こんな顔をされるってわかっていたから、顔を合わせるのが嫌だったのに…。


「希咲……。泣いて……」


「お願いだから……もうこれ以上、あたしに関わらないで……」


呟くように言いながら顔を背けたあたしは、力無く凪兄の手を振り払った。


そして、彼が言葉を発する前に外に出た。