愛の雫

『ごめん』


呟き掛けたその言葉を、ちゃんと声にしたかった。


早苗にこの気持ちを暴かれた時、凪兄に素直に謝ろうって決めた。


だけど…


「ふざけないでよっ……!」


振り絞るように発した言葉は、謝罪とは程遠い物だった。


「希咲……」


「何なのっ!!あたしが何で怒ったのかわからないくせに、何で謝るのよっ!!あたしの気持ちもわからないくせに、適当な気持ちで謝ったりしないでっ!!」


あたしは、息継ぎもせずに一気に話した。