愛の雫

「でも、希咲がどうして怒ったのかわからないから、怒らせた事にしか謝れないんだけどさ……」


「え……?」


「ごめん……。怒らせたのは俺だって事はわかってるんだけど、希咲が何に対して怒ったのかって事はどれだけ考えてもわからなかったんだ……」


凪兄はバツが悪そうな顔をしながら、あたしを見つめた。


「だからさ、何で怒ったのか教えて欲しいんだけど……」


チクリ、胸の奥が痛む。


その痛みの理由が凪兄の言葉のせいだなんて、すごく虚しかった。